メインコンテンツへスキップ
■はじめに
■身体障害者手帳
▼概要
  • 身体障害者福祉法に基づき、都道府県知事、指定都市市長または中核市市長が交付する手帳で、交付を受けると各種制度を利用することができます。
  • SBMA患者の場合、主に肢体不自由(上肢)(下肢)(体幹)の障害として、身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)[1]に基づき認定されます。具体的な基準は厚生労働省から出される通知等によっても定められています。
    以下は身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について[1]の[一下肢の機能障害]の一部です。
    • 全廃(3級):下肢全体の筋力の低下のため患肢で立位を保持できないもの
    • 著しい障害(4級):1km以上の歩行不能、通常の駅の階段の昇降が手すりにすがらねばできないもの
  • また、2つ以上の障害が重複する場合は、各障害の合計指数に応じて、上位の等級に認定されます(例:両下肢3級+右上肢4級=認定等級2級)
  • 身体障害者手帳の交付を受けると以下のような福祉サービス等を受けることができます。福祉サービスは、自治体によって内容や名称が異なる場合があります。また申請窓口や事業主体が異なりますので、詳しくは自治体役所等でご確認ください。
    • 各種手当の支給
    • 医療費の助成(重度心身障害者医療費助成制度)
    • 携帯電話料金の割引
    • NHK放送受信料の減免
    • 自動車改造費の助成
    • 駐車禁止除外
    • 有料道路通行料金の割引
    • 航空・鉄道・タクシー・バス運賃の割引
    • 所得税・相続税の障害者控除、住民税の障害者控除および非課税、贈与税の非課税
    • 退職所得控除額の加算(障害者になったことが直接の原因で退職した場合)
    • 自動車税・自動車取得税の減免
    • その他の多種多様なサービス
  • 身体障害者手帳を取得しても、それを行使するか否かは本人に任されていますので、身体障害者手帳を取得しても自ら申告しなければ第三者(勤務先等)に知られることはありません。
  • 障害者等の福祉サービスと介護保険とで共通するサービス(訪問介護、通所介護、福祉用具レンタル・購入等)は、原則として介護保険(65歳以上の第1号被保険者が要介護認定または要支援認定を受けた場合)が優先されます。
▼申請先
  • 居住地の自治体役所
■公的年金制度
▼概要
  • 65才未満の保険期間中に初診日(SBMAに関して初めて医師の診察を受けた日)があり、初診日から1年6ヶ月経過した日(障害認定日)以降に、国民年金・厚生年金保険 障害認定基準[肢体の機能の障害]の1級~3級に該当すると障害年金が支給されます。
  • 障害年金には、公的年金制度毎に以下の3種類があります。
    • 障害基礎年金(国民年金)
    • 障害厚生年金(厚生年金)
    • 障害共済年金(共済年金)(2015年10月1日から「被用者年金一元化法」により厚生年金に統一)
  • 障害年金は初診日に加入していた年金制度から支給されます。
  • 初診日が国民年金に加入していた国民年金被保険者(第1号被保険者、第3号被保険者)であった期間にあり、1級または2級に認定された場合は、障害基礎年金が支給されます。
  • 初診日が厚生年金に加入していた厚生年金被保険者(第2号被保険者)であった期間にあり、1級または2級に認定された場合は、障害基礎年金と障害厚生年金が支給されます。3級に認定された場合は、障害厚生年金のみが支給されます。
  • 初診日が共済年金に加入していた共済年金被保険者(第2号被保険者)であった期間にあり、2015年9月30日までに1級または2級に認定された場合は、障害基礎年金と障害共済年金が支給されます。3級に認定された場合は、障害共済年金のみが支給されます。
  • さらに支給要件を満たしている障害基礎年金の受給者には、2019年10月の消費税引き上げに伴い開始された年金生活者支援給付金が支給されます。詳しくは年金生活者支援給付金制度について[1]をご覧ください。
  • 障害基礎年金と障害厚生年金には支給制限がありませんので、給与所得等があっても満額支給されます。
  • 障害共済年金には2015年9月30日まで共済組合加入中の支給制限がありましたが、2015年10月1日から共済年金が厚生年金に統一されたことにより支給制限が無くなりました。
  • 厚生年金には障害手当金、共済年金には障害一時金もありますが、通常、SBMA患者には該当しませんので説明は省略します。
[障害年金の支給に関するまとめ]
初診日に加入していた年金制度 支給対象の年金 障害の等級
1級 2級 3級
国民年金 障害基礎年金 支給 支給
厚生年金 障害基礎年金 支給 支給
障害厚生年金 支給 支給 支給
共済年金 障害基礎年金 支給 支給
障害共済年金 支給
(2015年10月1日から)
支給
(2015年10月1日から)
支給
(2015年10月1日から)
年金生活者支援給付金 支給(支給要件あり) 支給(支給要件あり)
  • 障害年金は、所得税および復興特別所得税が非課税です。
  • 障害厚生年金の支給額は、加入時点~初診日~障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)までの標準報酬で決まるので、障害認定日以降であれば、いつ請求しても支給額は同じです。障害認定基準の障害の程度に該当する状態になったら、早く請求した方が、長い期間にわたって受給できることになります。なお、遡及請求(認定日請求)が可能な場合もあります。
  • 国民年金に加入している国民年金被保険者(第1号被保険者)が障害基礎年金を受給できるようになった場合と、障害基礎年金と障害厚生年金を受給している厚生年金被保険者(第2号被保険者)、または障害基礎年金を受給している第3号被保険者が、第2号被保険者の退職等により国民年金に加入し国民年金被保険者(第1号被保険者)になった場合は、国民年金保険料の法定免除制度により国民年金保険料が免除されます。SBMA患者は障害認定されたあとに症状が改善して障害認定されなくなる可能性は低いと考えられますので、有利な制度になります。なお、法定免除期間の老齢基礎年金額は、2009(平成21)年3月以前の期間は1か月を1/3、2009(平成21)年4月以降の期間は1か月を1/2で計算され、国民年金基金の加入員資格も喪失しますので、65歳以降に老齢基礎年金を受給する場合は注意が必要です(追納制度もあります)
年金の併給または選択
-年金の併給または選択-
  • 障害基礎年金の受給者が65歳になり老齢基礎年金の受給権を得たとき、障害基礎年金と障害厚生年金の受給者が65歳になり老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権を得たときは、図「年金の併給または選択」のいずれかの組み合わせで受給することが可能です。通常、国民年金の場合は障害基礎年金、厚生年金の場合は障害基礎年金と老齢厚生年金、または障害基礎年金と障害厚生年金を選択すると、最も有利になる場合が多い考えられます。詳しくは年金の併給または選択の「2.老齢給付と障害給付」をご覧ください。
  • 障害年金と身体障害者手帳は別制度であるため、それぞれ認定基準も異なります。つまり身体障害者手帳1級と、障害年金1級は制度上の関連はありません。しかし身体障害者手帳を持っている場合、病歴・就労状況等申立書にその旨を記載できますので、先に身体障害者手帳を取得した方が良いと考えられます。
  • SBMAは進行性疾患であるため、通常は定期的(おおむね3年~5年程度毎)に更新があります。更新年誕生月の3ヶ月前の月末までに案内と診断書用紙が郵便で届きますので、誕生月の末日までに障害状態確認届等を提出します。障害状態確認届の内容は、初回請求時の国民年金・厚生年金保険診断書とほぼ同じです。
  • 年金制度は繰り返し制度改正が行われており、非常に複雑です。さらに個人毎に状況が異なりますので、詳細は年金事務所・街角の年金相談センター等で確認してください。
  • 障害年金の請求手続は自分でも可能ですが、障害年金に詳しい社会保険労務士に依頼することも可能です。費用はかかりますが、大部分の書類の作成や手続を代行してもらうことも可能です。
  • SBMAの会では、SBMA患者の障害年金請求代行手続の経験が豊富な社会保険労務士と提携しています。詳しい説明は[障害年金相談窓口(会員専用コーナー)]をご覧ください。
▼申請先
  • 厚生年金(第2号被保険者):最後に勤務していた会社を管轄する年金事務所(最寄の年金事務所でも可)
  • 国民年金(第3号被保険者):住所地を管轄する年金事務所
  • 国民年金(第1号被保険者):住所地の自治体役所の年金課
  • 共済組合:各共済組合
■「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づく医療費助成制度
▼概要
  • 難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)[1]基づく医療費の助成制度です(2014年12月までは、1972年に発足した特定疾患治療研究事業によって医療費助成が行われていました)
  • SBMAは難病法における指定難病[1]に指定されていますので、重症度分類[1]が3以上または高額な医療を継続することが必要である場合(軽症高額該当)、特定医療費(指定難病)受給者証が交付され、以下のような医療費の助成を受けることができます。
    • 健康保険の自己負担割合が2割になります(もともと2割または1割の方はそのまま)
    • 同一月内の自己負担額(外来診療、入院、薬局での保険調剤、介護保険における介護サービスや介護予防サービスの一部、医療保険における訪問看護の支払額の合算)が、市町村民税等に応じた自己負担限度額までとなります。
  • 詳しくは難病情報センターホームページの[医療費助成制度]に掲載されています。
  • 一部の自治体では、特定医療費(指定難病)受給者証の交付を受けている人に対して、手当等を支給する独自の制度(制度名、金額等は自治体毎に異なります)もあります。
▼申請先
  • 申請者の住所地を管轄する保健所等
■駐車除外および駐車許可制度
▼概要
  • 公安委員会による駐車禁止規制が行われている道路でも、一定の条件下で自動車を駐車することができる制度です。
  • 身体障害者手帳 肢体不自由(上肢)1級・2級の1・2級の2、肢体不自由(下肢)1級~4級を取得している歩行困難な身体障害者へ、駐車禁止除外指定車標章が交付されます。
  • 身体障害者本人へ標章が交付されるので、運転免許証や自動車を持っていなくても申請が可能です(他人が運転する車に同乗しているときも使用可能)
  • 有効期間は3年間です。
  • 基本的には全国一律の制度ですが、都道府県公安委員会によって独自に交付対象を拡大している場合もあります(例:公安委員会が歩行が困難であると認めるもの)
  • 都道府県によって制度の名称が異なります。
▼申請先
  • 申請者の住所地を管轄する警察署
■公的介護保険制度
▼概要
  • 主に65歳以上の高齢者の介護サービス(介護給付)や介護予防サービス(予防給付)を保障するための社会保険制度です。
  • 65歳以上のSBMA患者(第1号被保険者)が要介護認定を受けると介護サービスを利用することができます。また、要支援認定を受けると介護予防サービスを利用することができます。
  • しかし、40歳以上65歳未満のSBMA患者(第2号被保険者)は、SBMAが特定疾病(16種類)に含まれていないため、介護サービスや介護予防サービスが必要になっても、これらを利用することができません。従って、40歳以上65歳未満のSBMA患者は、医療保険による医療サービス(訪問看護など)や、身体障害者手帳・障害者総合支援法等による福祉サービスを受けることになります。
▼申請先
  • 居住地の自治体役所
■高額療養費制度
▼概要
  • 医療機関や薬局の窓口で支払った額が一ヶ月の間に一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
  • 健康保険組合によっては付加給付があるところもあります。
  • 「重度心身障害者医療費の助成」と「高額療養費制度」では「高額療養費制度」が優先し、「高額療養費制度」で残った分(自己負担分)を「重度心身障害者医療費の助成」で助成します。
  • 詳細は高額療養費制度を利用される皆さまへ[1]を参照してください。
▼申請先
  • 居住地の自治体役所、健康保険組合等
■特別障害者手当
▼概要
  • 身体に著しく重度の障害があり、日常生活において常時介護を必要とする状態にある在宅の20歳以上の方に支給されます。
  • 施設に入所している方、継続して3ヶ月以上入院している方は対象外です。
  • 受給者等の前年の所得が一定の額以上であるときは支給されません。
  • 支給額は国によって定められていますが、自治体によって独自の加算額がある場合もあります。
  • 詳細は特別障害者手当について[1]を参照してください。
▼申請先
  • 居住地の自治体役所
■重度心身障害者医療費助成制度
▼概要
  • 重度の障害がある方が負担した健康保険診療の自己負担金を助成する制度です。
  • 主に身体障害者手帳1・2級の方が対象になります。
  • 自治体によって制度の名称、対象者の範囲、所得制限、自己負担金、助成対象、助成方法等が異なります。
▼申請先
  • 居住地の自治体役所
■障害者総合支援法
▼概要
  • SBMAは障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)[1]対象疾患[1]に指定されています。
  • 身体障害者手帳の有無や年齢に関わらず、自立支援給付(介護給付(居宅介護など)、補装具(電動車いすなど)、相談支援など)および地域生活支援事業の福祉サービスを受けることが可能です。
  • 介護給付を受ける場合は障害支援区分の認定(福祉サービス受給者証の発行)が必要になるなど、サービスによって手続きが異なりますので、詳細は申請先へ確認してください。
  • 詳細は障害福祉サービスの利用について[1]をご覧ください。
  • 介護保険における第1号被保険者(65歳以上)で要介護認定や要支援認定を受け、介護保険による同様の居宅サービスや施設サービス等が利用できる方は、介護保険が優先されます。
  • サービス利用料は1割自己負担ですが、市町村民税所得割に応じた月額上限額が設定されています。自治体によっては独自の軽減策が制定されている場合もあります。
▼申請先
  • 居住地の自治体役所
■訪問看護
▼概要
  • 訪問看護(参考:日本訪問看護財団)は、医療機関や訪問看護ステーションの看護師等が医師と連携して、自宅で健康観察や医療処置等を行うサービスです。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリテーションを自宅で受けることも可能です。
  • 訪問看護は医療保険や介護保険で利用できますが、SBMAは厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)[1]に指定されているため、介護保険の要介護認定や年齢に関係なく(65歳未満でも65歳以上でも)、医療保険による訪問看護を受けることができます(参考:訪問看護相談支援センターかごしま)
  • 医療保険による訪問看護では、医師の指示があれば、週4日以上の利用、3ヶ所までの訪問看護ステーションの利用、1日複数回の利用等が可能です。
  • 医療保険による訪問看護の費用は、医療費月額の1~3割が自己負担(交通費は実費)ですが、特定医療費(指定難病)受給者証重度心身障害者医療費助成制度の助成対象になります。
▼相談先
  • 医療機関の医師(主治医)やソーシャルワーカー、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、居住地の自治体役所など
■雇用保険
▼概要
  • 雇用保険[2]に加入していた会社員等は、離職後、求職中に求職者給付の基本手当[2]を受給できる場合があります。
  • 身体障害が理由で離職した場合や、身体障害者が求職する場合、基本手当の受給に際し「特定理由離職者」や「就職困難者」として優遇措置を受けることができる可能性があります。
▼特定理由離職者
  • 身体障害が理由で離職した場合は「正当な理由のある自己都合により離職した者」とみなされ「特定理由離職者(離職理由=33(3C)または34(3D))[2]となる場合があります。
  • 特定理由離職者になると、以下のような優遇措置を受けることができます。
    [特定理由離職者の優遇措置]
    優遇措置 概要
    受給要件の緩和 「離職前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上」に緩和(一般離職者は離職前2年間に被保険者期間12ヶ月以上)(参考:受給要件[2])
    給付制限の非適用 待機期間(7日間)後の給付制限(基本手当を受給できない期間)が適用されない(一般離職者は最長3ヶ月の給付制限[2]が適用される)
    所定給付日数の延長 基本手当の所定給付日数[2]が最長330日になる(一般離職者は最長で150日)
  • 雇用保険受給資格者証の離職理由は、雇用保険被保険者離職票-2の離職理由(事業主記入欄および離職者記入欄)と離職区分によってハローワークが決定します(参考:離職理由の判断手続きの流れ[2])
    雇用保険被保険者離職票-2の離職区分が3Cや3Dになっていなくても、具体的事情記載欄(離職者用)への事実の記入、証跡の提示、説明により、雇用保険受給資格者証では33や34に認定される場合があります。
    ハローワークにおいて求職申込手続を行う際に、身体障害者手帳、特定医療費(指定難病)受給者証、障害年金の国民年金・厚生年金保険年金証書などを提示することをお勧めします。
▼就職困難者
  • 身体障害者は就職困難者と認定される場合があります。
  • 就職困難者は障害者の雇用の促進等に関する法律第2条第2号および別表で定められていますが、ハローワークでは身体障害者手帳で判断されます。
  • 就職困難者になると、以下のような優遇措置を受けることができます。
    [就職困難者の優遇措置]
    優遇措置 概要
    所定給付日数の延長 基本手当の所定給付日数[2]が最長360日になる(一般離職者は最長で150日)
    求職活動実績の優遇 求職活動が1回以上/4週(失業認定日から次回失業認定日までの期間)で失業認定される(一般離職者は2回以上/4週)
    ハローワークの専門援助部門における求職相談が求職活動1回と認められるため、失業認定日にハローワークへ出向き、失業認定のあとに専門援助部門で求職相談すれば、次回失業認定日までに必要な求職活動1回を達成できる。
    常用就職支度手当 就職が決まったときの支給残日数が「3分の1未満」でも常用就職支度手当[2]が受給できる場合がある(一般離職者は支給残日数「3分の1以上」のときのみ再就職手当が受給できる)(基本手当とは異なる「就職促進給付」の手当)
  • 特定理由離職者や就職困難者の場合、基本手当を受給するために就労可否証明書(「就労が可能なこと」を証明する医師が作成する診断書)が必要になる場合があります(基本手当は、就労の意思があり、かつ身体的に就労できる状態であることが受給条件であるため)
  • 雇用保険の制度ではありませんが、特定理由離職者(雇用保険受給資格者証の離職理由が33または34)は、国民健康保険の保険料の軽減措置(前年の給与所得を30/100とみなす)[1]が受けられます(申請先は居住地の自治体役所です)
▼申請先
  • 区域を管轄するハローワーク
■リンク説明
  • [1]:厚生労働省ホームページへのリンク
  • [2]:ハローワークインターネットサービスへのリンク